AI時代に求められる、今の時代で本当に大切にすべきもの
AIが急速に普及するなかで、「これからの時代に最も価値がある物質は何か」という問いが注目されています。
多くの文脈では、GPUに使われる半導体素材や、データセンターを冷やすための水、あるいはバッテリーに欠かせないリチウムやコバルトといった素材が語られます。確かにそれらは、AI社会のインフラを支える重要な物質です。
しかし私は、もう少し違う角度でこの問いを考えてみたいと思っています。
「情報」はあふれているのに、なぜ判断が難しくなるのか
AIの登場によって、情報を得ることのコストはほぼゼロになりました。調べれば答えが出てくる。要約してもらえる。翻訳も、分析も、提案も、秒でできる。
それなのに、「何を信じていいかわからない」「選択肢が多すぎて決められない」という声は、むしろ増えているように感じます。
これは情報が足りないのではなく、情報を解釈するための「身体的な基準」が失われていることが一因だと思っています。
手で触れ、目で見て、耳で聞いた経験の重み
私はシステム開発やWeb制作を仕事にしながら、意識的にアナログなものを手放さないようにしています。
手帳に書くこと。直接会って話すこと。現場に足を運ぶこと。
デジタルで完結できることを、あえてアナログにするのは、非効率だからではありません。身体を通して得た情報だけが、自分の判断の「軸」になると感じているからです。
AIが出力する情報は、精度が高く、速い。でも、その情報が「自分にとって正しいかどうか」を判断できるのは、自分が蓄積してきた物理的な経験だけです。
AI時代に最も重要な「物質」は、身体的な経験そのものではないか
半導体の話から少し飛躍するようですが、私が考えるAI時代に最も重要な「物質」は、人間の身体的な経験の積み重ねです。
「物質」という言葉が示す通り、それは形のあるもの——直接触れたもの、自分の声で話したこと、紙に書いた文字、その場の空気——から形成されます。
AIにできないことは何かを考えたとき、最終的にはここに行き着きます。経験の固有性。同じ情報を読んでも、現場に行った人と行っていない人では、判断の質が変わる。これはAIがどれだけ賢くなっても、埋められない差です。
だからこそ、デジタルとアナログを「分けない」
NUXILでは、DXやシステム開発のご支援をしながら、常にこう考えています。
デジタルは、アナログな判断・経験・関係性をより豊かにするためのツールである、と。
業務をデジタル化することが目的ではなく、デジタル化によって生まれた余白を、より人間らしい仕事・対話・創造に使うことが目的です。
AIが進化するほど、物質としての経験を意識的に積む人と、積まない人の差は広がると思っています。
まとめ
AI時代に最も重要とされる物質を問われたとき、私の答えは「人間が身体で積み重ねてきた経験の総体」です。
これはアナログ至上主義でも、デジタル否定でもありません。AIを正しく使うために、アナログな自分を磨き続けること——その両輪があってはじめて、テクノロジーは本来の力を発揮します。
情報があふれる時代だからこそ、何を自分の軸にするかを問い続けていきたいと思います。