NUXILの仕事の中心に、ある考え方があります。
パッケージは売らない。お客様に合わせて形を変える。
社外向けには強く打ち出してきませんでしたが、すべての提案の根っこにある姿勢です。今日は、この話を書きます。
テンプレートとパッケージの限界
Web制作・システム開発の業界には、パッケージ商品を主力にする会社が多いです。
- 月額3万円のサイト制作プラン
- 業種別テンプレートを当て込むコーポレートサイト
- 業務システムのSaaS化された定型パッケージ
これらは悪いものではありません。むしろ業界全体の効率化に大きく貢献してきました。同じ機能を何度も作り直すコストを業界全体で減らしてきた功績は大きい。
ただし、「うちの業務にフィットする」という観点では、限界があります。
会社の業務には、その会社の歴史と文化があります。同じ「製造業」でも、A社とB社では工程の順序が違う、データの粒度が違う、現場の人の動き方が違う。業種が同じなら同じ仕組みで動く、ということは、ほぼないのが現実です。
同じ業種でも、会社の数だけ業務がある
具体例を挙げます。
ある運送会社さんとお仕事をした時、「FAXで受発注を受けている」という業務がありました。これだけ聞くと「FAX OCRソフトを入れればいい」と思うかもしれません。
でも、実際に現場に入ってみるとこんな固有事情がありました。
- 取引先の8割は中小規模で、いまだにFAX文化が根強い
- 残り2割の大手取引先は、独自の発注システムを持っている
- FAXの記載方式が取引先ごとに違う(様式が30種類以上ある)
- 数字の手書きクセが、お客様ごとに個性的
汎用パッケージでは絶対に解けない。
NUXILがやったのはこんなことです。
- 30種類の様式すべてを学習させたAI読み取り
- 大手2割向けには、別ルートのAPI連携
- 手書きの個性に対応するため、確信度が低い時は人の目視確認に回す
- 既存業務フローを変えず、UIだけ追加
この会社のためだけの作りです。隣の運送会社に同じものを当てても、たぶん合いません。
同じ業種でも、会社の数だけ業務がある。
これが、私たちが「パッケージは売らない」と決めている理由です。
「形を変える」とは、技術選定・進め方・コミュニケーション全部
「形を変える」というのは、機能をカスタマイズするという話だけではありません。次のすべてが含まれます。
1. 技術選定
- Laravelで作るのか、kintoneで組むのか、Excelで十分か
- AIを使うのか、ルールベースで十分か
- クラウドかオンプレか
2. 進め方
- ガッツリ仕様を固めるのか、走りながら決めるのか
- 週1で進捗共有か、月1か、リアルタイム共有か
- 経営層を巻き込むか、現場主導で進めるか
3. コミュニケーション
- Slack・Chatwork・メール・電話、どれが心地よいか
- 報告のフォーマット・頻度・粒度
- 「やります」と言って静かに進めるか、逐次共有するか
ぜんぶ、お客様に合わせます。
「アメーバ」と呼んでいる、裏の姿勢
社内では、この姿勢を「アメーバ」と呼んでいます。
アメーバは、固有の形を持ちません。環境に応じて形を変えながら、本体は維持される生き物です。
NUXILも同じです。お客様によって見せる形は変わりますが、根っこにあるもの、「お客様の事業に効くものを、誠実につくる」という核は変わりません。
社外には強く打ち出してきませんでした。形を変えることそのものが目的ではないからです。お客様にとっての価値が先、そのために形を合わせるのが順序。コピーで連呼する売り文句ではなく、仕事の進め方そのものに染み込んだ姿勢として持っています。
パッケージを売る会社が悪いわけではない
最後にひとつ、補足です。
パッケージ商品を売る会社が悪い、と言いたいわけではありません。パッケージには速さと安さという大きな利点があります。スピードと予算を優先したい場面では、パッケージのほうが正解です。
ただ、「うちの業務にフィットさせたい」「奥行きまで作りたい」というお客様には、パッケージは合いません。そういうお客様のために、NUXILは「形を合わせる」をやっています。
どちらが上か下かではなく、お客様の状況に合った会社を選ぶことが大事だと思っています。
結論:形を、合わせにいく
NUXILの新サイトのキャッチコピーは「形を、合わせにいく。」です。
上記の姿勢を一文に圧縮した言葉です。「合わせる」ではなく、「合わせにいく」。能動的に、お客様のところまで降りていって、そこで形を作る。これが私たちの基本姿勢です。
「自社の業務に合うやり方を一緒に考えてくれる相手を探している」、そう感じているなら、まずは雑談ベースで構いません。お話を伺うところから、ご一緒できます。