ご相談に来てくださる経営者の方の第一声は、たいてい本当の課題ではありません。
「ホームページを新しくしたい」 「AIを入れたい」 「業務システムを作りたい」
来てくださる時、皆さんは**何かしら「やりたいこと」**を持ってこられます。それは大事なきっかけです。けれども、お話を伺っていくと、その奥にもっと本当の課題があることが見えてきます。
「あっ、そういうことか」
——お客様自身が、ふと声を漏らす瞬間が、私たちにはあります。
その気づきこそが、私たちが仕事をいただけている理由だと思っています。今日は、実際にあった3つのケースをご紹介します(個別が特定されないよう、内容は一部抽象化しています)。
ケース1:「ホームページを刷新したい」と来た製造業の社長
「うちのホームページ、もう古くて。リニューアルしたいんです」とご相談いただいた、ある製造業の社長さんの話です。
普通に進めれば、すぐ見積もりを出して、サイト制作の提案で終わる流れです。でも私たちは、必ず最初に聞きます。
「新しくしたい理由は、何ですか?」
社長さんは少し考えて、「最近、新規問い合わせが減ってる気がして。サイトが古いせいかなと」と答えてくださいました。
「問い合わせがあった時、いま、どう対応されてますか?」
「営業がメールで返してます」
「だいたい、いつまでに返信してます?」
「うーん、2〜3日後ですかね」
ここで社長さんの表情が、ちょっと変わります。
問題はサイトの古さではなかった可能性がある。問い合わせから返信まで2〜3日かかっている間に、お客様は競合の見積もりを見て、そちらに発注している。機会損失はサイトの見た目より、返信スピードのほうが大きい——その可能性が、ご自身の口から出てきました。
最終的にご提案したのは、サイトリニューアルをいったん後回しにして、問い合わせ対応の仕組みから手をつけることでした。返信テンプレを整え、AI で一次返答を自動化。反応時間が「2〜3日 → 30分」になりました。
サイトのリニューアルは、その半年後にやらせていただきました。順番が変わっただけです。
ケース2:「AIを入れたい」と来たサービス業の社長
「うちもAIで何かやらないと、乗り遅れちゃう」と相談に来てくださったサービス業の社長さんの話です。
「具体的に、どの業務をAIで?」
「うーん、何でもいいんですけど…まだ決まってなくて」
「では今、社内で一番時間がかかっている業務は、何ですか?」
「うーん…たぶん、お客様からの問い合わせ対応かな」
「どんな問い合わせが多いですか?」
「FAQ的なものから個別の見積もり依頼まで、色々混ざってます」
ここで気づきが生まれます。
「AIで何か」の前に、問い合わせを分類することすら、まだやっていなかった。FAQ系と個別案件を分けるだけで、半分以上は自動応答できるかもしれないのに、その認識すら持っていなかった。
ご提案したのは、3週間で問い合わせの分類から始めること。FAQ系だけまずAI自動応答を入れる。個別案件は人が対応する。たったこれだけで、問い合わせ対応の負荷は3割減りました。
「AI導入」は、流れの中の一つの手段でしかなかった、という気づきでした。
ケース3:「業務システムを入れたい」と来た小売業の社長
「うちも業務システムを入れないと、と思って」と来てくださった小売業の社長さんの話です。
「いま、業務はどう運用されてますか?」
「在庫管理は、Excelでやってます」
「ストレスは、どのあたりに?」
「あ、いまはまだ大丈夫なんです。でも、もう少し会社が大きくなったら、回らなくなる気がして…」
正直なお話でした。そして私たちの答えも、正直なものでした。
「いまは、業務システム入れないほうがいいですよ」
社長さんは驚かれていました。「え、おたく、システム作る会社ですよね?」と。
仰る通りです。でも、いま要らないものを作るのは、お客様にとって害でしかない。今のExcel運用で回っているうちは、**そこを「上手く運用する」**のが先です。
代わりに、Excelの整理の仕方と、いつシステム化を考えるべきかの判断基準を、紙1枚にまとめてお渡ししました。お金は受け取っていません。
その社長さんが2年後、本当にExcelで回らなくなって戻ってきてくださった時、迷わずNUXILを選んでくださいました。
共通するパターン:相談すること自体が、課題を整理する作業
3つのケースに共通するのは、お客様の最初の言葉と、最終的に取り組んだことが、違うという点です。
これは別に、お客様が間違っていたわけではありません。悩みは、最初は言葉になりきっていない——それが普通だからです。
- 「ホームページを直したい」の奥に「問い合わせ対応の遅さ」があった
- 「AIを入れたい」の奥に「業務の分類すらできていない」があった
- 「システムを入れたい」の奥に「今は要らない」があった
これらは、話して、聞いて、書き出して初めて見えてきます。私たちの仕事の半分は、コードを書くことではなく、この対話です。
NUXILが選ばれる理由は、技術じゃない
正直に書きます。
技術的に「Webサイトを作れる人」「業務システムを作れる人」「AIを使える人」は、世の中にたくさんいます。NUXILが特別優れているわけではありません。
私たちが選んでいただけている理由は、たぶん、お客様の話を「奥まで」聞くことなんだろう、と思っています。
「何を作るか」ではなく、「何を解決したいか」を一緒に言葉にする。
そこから初めて、手を動かす。これは技術ではなく、姿勢の問題だと思っています。
結論:悩みが、言葉になっていなくても、来てください
- 「相談したいけど、何を相談すればいいか分からない」
- 「やりたいことは漠然としていて、整理できていない」
- 「そもそも、依頼するレベルの話か分からない」
——こうした状態でも、まったく問題ありません。むしろ、そういう状態の時にこそ、お話する価値があります。
「あっ、そういうことか」という気づきが生まれるのは、整った相談からではなく、整っていないところから整理していく対話の中です。
雑談ベースで構いません。お時間取っていただけたら、こちらこそ嬉しいです。