「うちは業務システム入れたいけど、エンジニアがいないから無理ですよね」
「ホームページ更新したいけど、社内に分かる人いないから諦めてます」

中小企業の社長さんから、本当によく聞く言葉です。諦めるのも分かります。エンジニア採用は競争が激しく、給与水準は上がり、入っても定着しない。社内で育てる時間もない。

でも、そこで止まっている経営者の多くが、「内製か外注か」の二択でしか考えていないことに気づきます。第3の選択肢があります。今日は、その話を書きます。

二択で詰まる構造

「ITで何かやりたい」と思った経営者が、まず考えるのは2つです。

1: 内製する(社員が作る)

  • メリット:自社の業務を分かっている人が作るので、合いやすい
  • デメリット:エンジニアを雇う必要がある。採用・教育・定着がすべて重い

2: 外注する(外の会社に発注する)

  • メリット:自社で雇わなくて済む
  • デメリット:言葉が通じない、見積もりが膨らむ、できたものがズレる

中小企業の場合、1は人材コストで詰まり、2はコミュニケーションコストで詰まる。結果、「うちでは無理」となって、Excelに戻る。

第3の選択肢:「並走」

私たちが提案しているのは、この2つの中間にある選択肢です。

「並走するパートナー」を持つ。

これは、外注のように丸投げするわけでも、内製のように自社で全部抱えるわけでもありません。社内の人と一緒に走るスタイルです。

具体的にはこういう関わり方になります。

  • 社内の業務担当者(エンジニアでなくていい)が、業務側を見る
  • NUXIL のような並走パートナーが、技術側を見る
  • 2人で一つのチームとして、システム/業務改善を進める

これは、外注の「お願いします、できたものをください」とは全く違います。お互いの言葉を行き来しながら、一緒に手を動かす。社内の人は技術を学ばなくていい。けれども、判断には参加する。

並走で何が変わるか

並走スタイルだと、二択の弱点が両方とも消えます。

内製の弱点 → 解消

  • 採用しなくていい
  • 教育期間がいらない
  • 退職リスクが消える

外注の弱点 → 解消

  • 言葉が通じる(並走者が業務を学ぶから)
  • 見積もりが妥当になる(現場が見えているから)
  • できたものがズレない(段階的に確認しながら作るから)

これは、AI で開発工程が早くなった今だからこそ、現実的に成立する形です。一昔前なら、「並走するパートナー」を雇うコストが高すぎました。いまは2〜3週間・25万円から並走を始められる。これが大きく変わったところです。

並走パートナーが「やる」こと、「やらない」こと

並走スタイルを誤解されないように、明確にしておきます。

並走パートナーがやること

  • 業務の流れを聞き、書き出す
  • システムで解決すべき箇所を切り出す
  • 技術選定・実装する
  • 社内の人にも分かる言葉で説明する
  • 運用後の改善も一緒にやる

並走パートナーがやらないこと

  • 「業務側の判断」を奪うこと
  • 社内が分からないところでブラックボックスを作ること
  • お客様の言葉を技術用語に置き換えて煙に巻くこと

社内の業務担当者は、技術が分からなくて大丈夫です。けれども、「何をやっているか」「なぜそうするか」は分かる状態を、私たちは保ち続けます。

並走スタイルだと、社内に「ITを語れる人」が増える

これが、並走の見落とされがちな副次的効果です。

外注に丸投げしていると、社内には「IT のことは分からないから外に頼んでる」状態しか残りません。次の判断も外に依存し続ける構造です。

並走していると、業務担当者の頭の中に「ITで何ができて何ができないか」の感覚が積み上がります。プロジェクトが終わる頃には、その担当者は「ITをある程度語れる人」になっています。

エンジニアを雇わなくても、社内に IT 判断力が育っていく。中小企業にとっての本当の意味での「DX定着」は、これだと思っています。

実例:「うちにはエンジニアいません」 と来た製造業の社長

ある製造業の社長さんが「業務システムを入れたいけど、うちにはエンジニアいませんから無理ですよね」とご相談に来てくださいました。

私たちはこう答えました。

「分かる人、社内に1人いれば大丈夫です」

社長さんは「えっ?」という顔をされていました。

実際には、経理の方を1人、業務側の担当として立てていただきました。エンジニア経験はゼロ。けれども、業務の流れは熟知している方です。

NUXILは技術側を担当。週1回オンラインミーティングを持ちながら、3ヶ月で受発注管理システムを立ち上げました。経理の方は、システムの中身は分かりません。けれども、「何が動いていて、何を改善すべきか」は完全に把握しています。

運用が始まった後、軽微な調整や運用ルールの変更は、その経理の方がご自分で意思決定して、NUXIL に「ここ変えて」と指示を出してくれるようになりました。

これが、並走の完成形です。

結論:エンジニアを雇わなくても、ITは進められる

エンジニアの採用が難しいのは、本当の話です。中小企業が大手やテック企業と人材獲得競争で勝てる場面は限られています。

でも、それはITを諦める理由にはなりません。

雇わなくても、外に丸投げしなくても、並走するパートナーと一緒に進める形があります。社内に必要なのは、業務を分かっている人が1人。あとは外の人間と協働で前に進めます。

「うちにはエンジニアいないから…」と諦めかけている経営者の方は、まずは雑談ベースで構いません。社内のどなたを並走の窓口にできるか、どこから始めるかを、一緒に整理するところからご一緒できます。