こんにちは、山上です。

ホームページを納品したあと、必ず起きることがあります。「すみません、ここの文言だけ直してもらえますか」という連絡です。電話番号が変わった、営業時間を変えたい、キャンペーンの日付を直したい。どれも数分で終わる作業に見えます。それでも、お客様自身の手では直らないことが多い。

実は、どこを自分で直せるかは、サイトを作るときにほとんど決まっています。CMS(コンテンツ管理システム)は、ホームページの中身を書き換えるための管理画面ですが、その「どこを編集できるようにするか」を、構築の段階で一つずつ設計します。全部を自由に変えられるようにするほど、手間もコストも、表示が崩れるリスクも増える。だからたいていは「ここは編集可能、ここは固定」と線を引いて納めます。後から「この部分も直したい」と言われても、編集できるように作っていなければ、こちらで手を入れるしかありません。更新の頻度も、どこまで自分で触れるかも、作り方しだいで最初から変わってくるわけです。

今日はこの「なぜ自分で直せないのか」を入口に、AIで更新の形がどう変わるのかを書いてみます。

CMSは、結局のところ難しい

仮に編集できるように作った箇所でも、もう一つの壁があります。管理画面そのものの難しさです。CMS は「専門知識がなくても更新できます」という触れ込みで、長く web 制作の標準でした。

ところが現場では、その管理画面が触られないまま放置されることがよくあります。ログインの仕方を忘れる。どの画面のどこを直せば、表のどこが変わるのか分からない。下手にいじって表示が崩れるのが怖い。結局「自分でやるより、頼んだほうが早くて安全」となって、また私たちに連絡が来る。

CMS は「誰でも更新できる」ことを目指した仕組みでした。でも実際にやっていたのは、人間の側がシステムの作法を覚えることでした。入力欄の構造、編集のルール、公開の手順。それを理解できる人だけが更新できる。理解できない多くの人にとっては、無いのと同じだったわけです。

自動販売機の、裏側のパネル

たとえ話をします。

CMS の管理画面は、自動販売機の裏側のパネルを渡されるようなものです。商品を入れ替えたいだけなのに、開けてみると配線とスイッチがびっしり並んでいる。どのレバーがどの商品列に対応しているのか、説明書を読まないと分からない。

機械の構造を理解している人なら、すぐ入れ替えられます。でも多くの人は、裏パネルを見た瞬間に手が止まる。「これは触らないでおこう、業者に頼もう」となる。悪いのはその人ではありません。人間に機械の地図を覚えさせる、という設計に無理があったのだと思います。

「ここを直して」と、話しかけるだけ

AI が変えるのは、ここです。

管理画面のどこを操作するかを覚える代わりに、やりたいことをそのまま言葉で伝える。「トップの3段落目、"24時間対応"を"平日9時から18時"に直して」。それだけで、文章が書き換わって反映される。入力欄の場所も、編集のルールも、公開の手順も、覚える必要がありません。

これまでは、人間が機械の作法に合わせていました。これからは、機械が人間の言葉に合わせます。順番が逆になる。当たり前のことのようでいて、これがちゃんと動くようになったのは、ごく最近のことです。文章の意図をくみ取って、正しい箇所を、崩さずに直す。その精度に AI がやっと届いた。

私はいま、自分のサイトでこの仕組みを試しています。チャットに「ここをこう直して」と書くと、該当箇所だけを書き換えて、確認用のページに反映する。気に入らなければ戻せる。実際に動かしてみると、更新のハードルがまるで違いました。ある案件でも、同じ形を作ろうと動いているところです。

自由にさせない、という作り込み

ひとつ大事なのは、何でもできるようにはしない、という設計です。

「ここの文言を直す」はできても、「ページのレイアウトを丸ごと変える」「料金表を作り直す」はできないようにしておく。AI に全部任せると、良かれと思って余計なところまで変えてしまうことがあるからです。だから、触れる範囲を機械の側で固く区切ります。誰が使っても、決められた枠から外に出られない。安心して任せられるのは、この枠があるからです。

更新のハードルが下がると、ホームページは放置されなくなります。気づいたときにその場で直せるから、情報が古いまま残らない。サイトが生きたまま保たれる。これは、管理画面が難しくて更新を諦めていた会社にとって、地味だけれど大きな変化だと思っています。

CMSは消えないが、前提が変わる

CMS そのものが無くなるわけではありません。データを保存して、ページに反映する仕組みは、裏側でこれからも必要です。変わるのは、その手前の「人間が管理画面を操作する」という前提のほうです。操作する場所が、複雑なパネルから、言葉のやり取りに置き換わっていく。

ホームページを作る仕事をしていると、納めたあとに更新されず、少しずつ古びていくサイトを何度も見てきました。もったいないと感じていました。AI で更新の入口が変われば、そこが変わる。作って終わりではなく、お客様自身の手で育て続けられるサイトに近づきます。

自社のサイトを、もっと気軽に直せるようにしたい。そう感じている方がいたら、声をかけてください。今の web サイトに、話しかけて直せる仕組みを足すところから、一緒に考えられます。