「もうExcelじゃ追いつかない」。そう感じている経営者の方とお話する機会が、最近本当に増えました。属人化、転記ミス、シート間で食い違う数字、メールでバラバラに送られてくる最新版。気づくと、本業よりも「Excelをどう回すか」が会社の中心になっている。今日は、そこから踏み出すための「最初の一手」について書きます。
Excelの限界はどこに現れるか
Excel自体は、強力で柔軟な道具です。ただ、ある段階を超えると、急に重くなる現象が起こります。よく聞くのは次のパターンです。
- 属人化:作った人にしか中身が分からない。退職や異動でブラックボックス化
- 転記ミス:複数のシートやファイルを跨いで同じ数字を入れる、そこで桁を間違える
- 最新版の混在:メールやチャットで「ver_最新.xlsx」「ver_最新_修正.xlsx」が増殖
- 同時編集できない:数人が触ろうとした瞬間、整合性が崩れる
- 遅さ:数十万行を超えると関数の再計算で固まる
これらが1つでもあると、業務のスピードがExcelに引きずられます。
でも「全部システム化」が答えではない
Excelを脱したい、と相談に来てくださった経営者の方に、私たちはいきなり「全部システム化しましょう」とは絶対に言いません。
理由は単純で、「全部システム化」はほぼ全例で失敗するからです。
- 要件が膨大になり、見積もりが数百万〜数千万円になる
- 期間は半年〜1年。完成する頃には現場の運用が変わっている
- 「Excelの自由度」がなくなり、現場が「これじゃ前のほうが良かった」と離反する
- お金と時間を投じた割に、業務はそれほど楽にならない
Excelは便利な道具です。完全に駆逐する必要はない。むしろ、Excelに残しておいた方が良い業務はたくさんあります。
一番痛い1つを切り出す
私たちの基本姿勢はこうです。
いま社内で一番痛い業務を1つだけ選んで、そこだけシステム化する。
たとえばこんな業務です。
- 毎月10時間以上かかっている転記作業
- ミスが起きたら被害が大きい数字の集計
- 属人化していて、その人が休んだら止まる業務
1つに絞って、まず2〜3週間で「動くもの」を出します。残りはExcelで回したままで構いません。
「全部やる」を諦めると、不思議なことに前進できます。動いてみて「これは効く」と分かれば、次の1つに進めばいい。段階的に投資判断ができるのが、Excel脱却の現実的な進め方です。
判断のための、3つの問い
「どこを切り出すか」を決める時、私たちは社長さんに次の3つを聞きます。
- その業務に、月どれくらい時間がかかっていますか? 数字が出ない業務は、後回しでいい場合が多い
- その業務でミスが起きたら、何が起こりますか? 損失が直接的・金額的なら優先度が高い
- その業務は、誰か特定の人しか分かりませんか? 属人化しているなら、システム化の効きが大きい
3つの問いに答えていくと、「いちばん効く1つ」が自然に浮かびます。それを起点にしましょう。
AI Sprintで、効くかどうかを見てから決める
NUXILでは、「効くかどうか」を判断するための仕組みとして、AI Sprintという進め方をご用意しています。
- 期間 2〜3週間、費用 25万円から
- 業務に当てはめた「動くもの」をお届け
- 実際の業務で1〜2週間試していただく
- そこから「広げる/直す/やめる」を判断
これで、数百万円を投じてから「違った」と気づくリスクを潰せます。
「Excelから抜けたいけど、何から手をつけたら分からない」、そう感じているなら、まずは雑談ベースで構いません。いちばん痛い業務を1つ、一緒に絞り込むところからご一緒できます。