こんにちは、山上です。
ありがたいことに、AIスプリントの依頼をいくつも受けています。最初に現物を作って、動くものを見ながら一緒に決めていく進め方です。ところが最近、この進め方の入口でつまずく場面が増えてきました。せっかく現物を用意しても、お客さんが触ってくれない。今日はその話を書きます。
触れるように作っているのに、触ってくれない
私たちのやり方はシンプルです。長い設計書を先に作るのではなく、まず動くものを出す。実際に画面を操作して、ボタンを押して、データを入れてみてもらう。そこで「あ、こういうことか」と分かってもらえれば、話は一気に前に進みます。
だから、手元で触れる状態にして渡します。URLを開けば動く。難しい操作はいらない。それでも、開いてもらえないことがある。次に会ったときに聞くと、「まだ触れていなくて」と返ってくる。作ったものが悪いわけではなくて、そもそも触る手前で止まっている。
足を止めているのは、システムという言葉
なぜ触らないのか。よく話を聞いてみると、多くの場合、原因は現物そのものではありませんでした。「システム」という言葉に対するアレルギーです。
システムと聞いた瞬間に、身構えてしまう。難しそう、間違えたら壊しそう、自分には分からない世界だ。そう思い込んで、開く前に気持ちが引いてしまう。実際にはまだ何も触っていないのに、頭の中だけで「自分はこれを理解できていない」と結論を出してしまっている。
これは能力の問題ではありません。これまでシステムと縁のなかった人ほど、こうなります。むしろ真面目な人ほど、「ちゃんと分かってから触らないと」と考えて、その「ちゃんと」がいつまでも来ない。結果、足が止まる。私はこれが、いちばんもったいないと思っています。
頭で分かってから触るのではなく、触ると分かる
順番が逆なんです。システムは、頭で理解してから触るものではありません。触っているうちに分かってくるものです。
自転車を思い出してください。乗り方を本で完璧に理解してから乗った人はいません。ふらつきながら、こけながら、体で覚えた。システムも同じです。ボタンを押してみて、画面が変わって、「これを押すとこうなるのか」と手で覚えていく。説明を10回聞くより、1回自分で動かしたほうが早い。
私たちが現物を先に出すのは、まさにこのためです。紙の上の説明は、どれだけ丁寧でも解像度が上がりません。動くものを触った瞬間に、「思っていたのと違う」「ここはこうしたい」が初めて出てくる。その一言が、いい仕組みを作るためのいちばん大事な材料になります。触ってもらえないと、私たちも次の手が打てない。
完璧に理解する必要はない
だから、身構えないでほしいんです。渡した現物は、間違えても壊れません。好きなように押していい。分からないまま触っていい。むしろ、分からないまま触ってもらったほうがいい。そこで感じた「よく分からない」こそが、直すべき場所を教えてくれるからです。
私たちの役割は、あなたにシステムを勉強してもらうことではありません。あなたが構えずに触れる状態を用意して、触って出てきた声を形に変えていくことです。専門用語を覚える必要はないし、全体を理解してから始める必要もない。まず開いて、ひとつボタンを押す。それだけで十分に前に進みます。
最初の一歩は、驚くほど小さい
システムアレルギーは、触った瞬間に消えていきます。私が現場で何度も見てきた光景です。あれだけ身構えていた人が、一度動かすと「なんだ、こういうことか」と表情が変わる。そこからは早い。
もし今、手元に触っていない現物があるなら、完璧に理解しようとせず、まず開いてみてください。うまく使えなくて構いません。分からないところは、そのまま伝えてくれればいい。その一言から、あなたの会社に合った形が育っていきます。
これから何か作ってみたいけれど、システムと聞くと身構えてしまう。そんな方がいたら、声をかけてください。触れるところから、一緒に始めます。